わずかの差で消えた命
実家を目指して歩いていたら、目の前にムクドリが落ちてきた。どうやら追われているようで、落ちたところに、数羽のムクドリが追撃してきた。必死に逃げようとするものの、もううまく飛べないらしい。
手を伸ばせば届くところまできたので、屈んで保護しようとしたのだけれど、さらなる追撃を避けるため、車道に飛び出してしまった。そこへ車が……。
車はムクドリの真上を通過。仰向けにひっくり返った姿があった。潰されはしなかったのでホッとし、駆け寄り、掬い上げる。
脳震盪を起こしているのかと思ったけれど……首をやられてしまったらしい。気絶しているだけにしては、不自然に首がグラグラする。
しばらく撫でてみたけれど、息を吹き返すことはなかった。
わずか数秒前まで生きていて、そのときに保護できれば助かっただろう命。……残念です。
縄張り争いなのか、メスの奪い合いなのか、仲間に殺されてしまうことは、野生の世界では日常茶飯事。「かわいそう」と思うのは、たまたまその場を目撃した人間の価値観。このムクドリは、仲間の追撃から逃げたのではなく、最後は私の手を拒んで車道に飛び出したのかもしれない。
目の前の死には、いろいろ考えさせられる。