伊藤正道さんの豆本
先日、伊藤正道さん追悼文集『ぼくのなかのきみ』が届きました。仕事関係者だけでなく、友人、同窓生、ファンの方からの声が収められた冊子です。
子ども時代からの伊藤さんの写真も載っていて、改めて伊藤さんを知ることができる冊子です。
私も少し書かせていただきました。
みんなが大好きな伊藤さんだから、できるだけ個人的なことを書こうと思いました。200字という短い制約の中に収めるには、なにを書いたらいいだろう? 個展を見た後、近くの喫茶店に入ったら、休憩を取る伊藤さんも偶然入ってこられ、おしゃべりしたことだろうか? giogio factoryの中庭で、のんびりストーリーゲート作品の打ち合わせをしたことだろうか? いろいろな場面が思い浮かび、200字に収めるのは、なかなか難しいことでした。
悩んだ末、初めてお会いしたときのことを書きました。ストーリーゲート作品『ピザット、お届け!』の打ち合わせ。なぜか私は「伊藤さんは、いたずら心にあふれた人だ」と思い込んでいました。
手許にあった伊藤さんの絵のポストカードにお話をつけ、それを豆本に仕立て、胸ポケットに隠し持って行ったのです。
ひとしきり打ち合わせが終わった後、私はこう切り出しました。
「じつは今日、伊藤さんの絵がついた本を持ってきているんですが、サイン、いただけませんか? 小さくでけっこうですので……」
快く応じてくださる伊藤さんの前に、「本当に小さいサインでけっこうですから」と、10円玉サイズの豆本を出すと、大笑いしてくれました。そして見返しに、本当に小さなサインをしてくださったのです。
サインは数えきれないほどされているでしょう。けれども、私にくださったサインは、おそらく最小のものではないでしょうか?
こちらがその豆本です。
文集を開いてみると、200字をはるかにオーバーしている人もいましたが、それもまた微笑ましいです。伊藤さんへの想いが溢れて、オーバーしているのはわかっていても、書かずにはいられなかったのでしょう。伊藤さんもきっと、喜んでいると思います。
伊藤さんの作品集が出版されました。その展示会が12月4日~9日、青山のGallery5610で開かれます。
お出かけになってみてはいかがでしょう?