続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

ゆうパック・ミステリー(そうでもなかった)

 先日、我が家で不可解なことが起こった。
 午後1時ごろ帰宅した私は、郵便受けにゆうパックの不在連絡票が入っていることに気づいた。私宛になっている。不在連絡票が投函された時刻は午後12時10分。私が帰宅する少し前だ。
 だが、妻はその時間、在宅していたと言う。それに玄関前には宅配ボックスを置いているので、不在ならそこに入れておいてもらえることになっている。配達物は冷凍でも冷蔵でもないし、ボックスに入らない大きさでもないようだ。必ず手渡しでないといけないようなものでもない。
 配達員さんが在宅の確認をしなかったのか? はたまた、妻がうたたねでもして呼び鈴に気づかなかったのか? ともかく、再配達してもらえば済む話だ。
 ところが、不在連絡票に書かれた送り主は、私の知らない名前だった。不審に思い、問い合わせ番号で調べてみたところ、福岡より発送されている。福岡に友人は、ひとりいる。けれど、友人からではなかった。
 怪しい。最近は商品を勝手に送りつけて、こちらが受け取ったことを理由に商品代を請求してくるという詐欺があるとも聞いていた。
 少し悩んだが、受け取り拒否することにした。もし知人からの贈り物だったら、なんらかの連絡をくれるだろう。そのときは謝罪して勘弁してもらおう。
 郵便局のお客様センターに問い合わせると「そういうことならば再配達の連絡をしないでおけば、期限切れを迎え、送り主に戻される」と教えてくれた。その策で行くことに決定した。
 ところが翌日、配達員さんが再度配達に来てくれた。私は留守で、妻が対応し、受け取り拒否の旨を伝えた。その際、送り主の住所をみたのだが、福岡ではなく新潟となっていたと言う。新潟となれば、親戚がたくさんいる。しかし、送り主の名前には、やはり覚えがない。
 しかし、この配達員さんのおかげで、ひとつの謎が解けた。うちの住所が間違っていて、階下の部屋番号が書かれていたのだ。前日の配達員さんはそのことに気づかず、階下の郵便受けに不在連絡票を入れたのだろう。階下の玄関には、宅配ボックスもない。そして階下の住人が間違いに気づき、我が家の郵便受けにそっと不在連絡票を入れてくれたのである。
 この配達員さんはとても親切な方で「受け取り拒否の旨はわかりました。でも、もしも、やっぱり受け取るとなったら、ご連絡ください」と、問い合わせ番号を書き写したメモを、妻に渡してくださった。
 さて、送り主が新潟在住だとわかれば、うっすら心当たりがある。先々月、個人的にはほとんど付き合いのない親戚がなくなり、その連絡を伯父からもらっていた。「香典出すなら、私が立て替えておくから、後日、私に送ってくれればいいよ」とのこと。私の亡くなった父とは年賀状をやり取りしていた方だったので、伯父にお願いすることにしたのだ。そのときの香典返しかもしれない。葬儀はたしか、亡くなった方のお孫さんが執り行ったので、荷の送り主はその方ではないだろうか?
 伯父に問い合わせると、やはりそうだった。どうりで覚えのない名前だった。発送場所が福岡だったのは、おそらく葬儀会社が手配したからであろう。
 そうとわかれば安心して受け取れる荷なのだけれど、再配達してもらうのはなんとも申し訳ない。少し遠いが、本局まで取りに行ってきた。
 無事お煎餅と羊羹の詰め合わせを受け取ることができて、ほっとひと安心。出かけたついでに、通りすがりのファミレスでモーニングを食べましたとさ。
 めでたし、めでたし。

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