続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

吉野家1号店

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 昨日、吉野家に牛丼を食べに行ってきた。吉野家はあちこちにあるから、べつにブログに書くほどのことでもないだろう。しかし「1号店で」となれば、話は別だ。

 吉野家1号店は、築地場内にある。今まで何度も築地に行ったことはあるし、「いつかは1号店で食べてみよう」と思っていた。しかし、いざ行ってしまうと、なかなかチェーン店である吉野家に入ろうと思えない。築地には、魅力的な店がたくさんあるのだ。また今度、また今度と思っているうちに、とうとう豊洲に市場が移転する期日が間近にせまってしまった。吉野家豊洲に移るらしいけれど、吉野家が始まったこの場所で牛丼を食べることは、もうできない。1号店は10月6日をもって閉店となる。行くなら今しかないのだ。

 この日、私は町田で仕事の打ち合わせがあった。打ち合わせが終わってから行こうと思ったのだけれど……待てよ。
 営業時間を調べてみる。午前5時~午後1時。
 やっぱり! 築地場内の店だ。市場で働いている人の時間帯に合わせているに決まっている。となると、打ち合わせの後では間に合わないではないか!
 1号店での牛丼を諦めるか、早起きするか。もちろん早起きを選ぶでしょう。午前2時就寝、午前5時半起床という、けっこうつらい思いをするけれど、止むを得まい。

 午前7時20分、築地着。食堂が並ぶ辺りに行くと、すでに客が行列を作っている。私は吉野家に一直線。幸いさほど並んでおらず、5分待っただけで入ることができた。

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「並で」なんていうのは、よその吉野家でする注文だ。1号店は細かい注文ができると聞いている。
「並で、トロだく、ネギやわってできますか?」
「トロだく」とは、脂身多めのこと。「ネギやわ」は玉ねぎ柔らかめのこと。
「トロだくはできますけど、ネギやわはどうかな?」
 店員さんが奥に確認しに行こうとするので、慌ててネギやわは取り消した。混んでるのに、余計な手間は増やしたくない。「トロだく」と注文できただけで充分。

 壁には箸立てがついている。忙しい市場の人が、立ったままでも食べられるようにつけられたのだと聞く。

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 混んでいても、注文すればすぐに出てくる。
 なるほど、脂身が少し多いようだ。

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 紅生姜はちょっとだけ、が私の流儀。七味をふりかけて、いただく。
 やっと1号店で食べられた。最初で最後の、1号店での牛丼。間に合ってよかった。
 しかし、いろんな思いをかみしめて食べるのはよろしくない。さっと食べて、さっと出る。
 店を出てみると、吉野家にも行列ができていた。みんな、1号店で食べておきたいんだねー。

 この後、八千代でチャーシューエッグも食べようと思っていた。ところが、八千代のある通りに行ってみると「行列」どころの騒ぎではない。どの店の前にも行列ができていて、もはやどれがどの店の列なのかわからない。いや、列ですらなく、人間を組み合わせた巨大な塊と化していた。これはもうお手上げだ。
 そういうわけで、大人しく仕事に向かったのでありました。


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