続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

まん我三昧3days

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 桂まん我さんの独演会に行ってきた。3日間連続の独演会で、通しで行くと手拭いがもらえるそうなので心ひかれたけれど、懐も寂しいので1日のみ観に行くことにした。
 さて、どの日にするか。猫好きの私はまず『仔猫』という演目に興味を持った。上方落語で、知らない演目だ。調べてみると、You Tubeで、桂枝雀の『仔猫』が、音声のみだけれど聴くことができた。
 ……陰惨な話です。「猫好き」という理由で聴く話じゃないですな。夏向きではあるかも。
 というわけで『どうらんの幸助』にするか、『しじみ売り』にするか。『しじみ売り』は冬の話なのでどうかと思ったけれど、相方の希望もあり、最終日の18日を観に行くことになった。


 会場は神保町・古書センター5階にある落語カフェ。初めて行く会場だ。

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 6時半開場のところ、6時前にスタンバイ。並び順、1番です! 一番前の席に陣取ることができた。寄席で言うところの「つばきゾーン」ですな。

 まん我さんが登場し、くすぐりとして最初に話したのが、独演会2日目の『仔猫』について。初めて落語を観る人が「猫が好きだから」という理由で『仔猫』の会を選んでしまい、「もう、落語もまん我も大嫌い!」となってしまう話で笑いを取る。同じ轍を踏むところだったので、爆笑。

 客席があたたまったところで一席目。泥棒の話で『書割盗人』が始まる。江戸落語で言うところの『だくだく』だ。もともとは上方落語だったようだ。

 貧乏で家財道具をなにひとつ持たない男が、絵のうまい友人に頼んで、壁に、床の間だの箪笥だの下駄箱だのを描いてもらう。金庫は半開きで札束が見えているように描いてもらい、金持ちになったつもりで暮らす。
 この家に目をつけた、ちょっと目の悪い泥棒。夜中に忍び込んで盗ろうとするが、絵なので、箪笥は持ち手が持てないし、札束もつかめない。ようやく絵であることに気づき「こいつ、金持ちのつもりで暮らしていやがる」と。
 そこで泥棒も「盗んだつもり」になることにした。大風呂敷を広げたつもりになって、箪笥の着物や、床の間の掛け軸や、札束を包んだつもりに。目を覚ました家主が、槍を持ったつもりになって、泥棒退治。ふたりの「つもり」合戦が繰り広げられるお話。

 二席目は『皿屋敷』。江戸落語では『お菊の皿』。こちらは武家がらみだから、もともとは江戸落語なのかな? 江戸落語では、舞台はそのまま「番町の皿屋敷」なのだけれど、上方では「播州姫路の皿屋敷」となる。
 お菊さんの幽霊は出るけれど、怪談ではなく滑稽話。お菊さんが美人と聞いて、みんなで見物に行く。ただし、皿を数える枚数最後の九枚を聞くと死んでしまうという。そこで七枚目あたりまで聞いたら逃げ出すことに。
 この方法だと死なないことがわかったので、毎晩見物に行く。お菊さんの方も、毎晩、美人だ美人だと言われるのでまんざらでもなく、だんだん調子づいてくる。見物客もだんだん増えていく。ところが増えすぎて、ある晩、七枚目を聞いて逃げ出そうとするものの、あまりの混雑で逃げることができない! さあ、どうなる!……というお話。

 中入りを挟んで、三席目『しじみ売り』。江戸落語だと鼠小僧が登場する話のようだけれど、上方落語では人情話。
 雪のちらつく最中を、まだ年端もいかぬ少年がしじみを売り歩いている。大店の主人が事情を聞き、しじみを全部買ってくれる。「病気の母親の見舞いだ」と一両差し出すが「大金はもらえない」という。遠慮ではなく、心底いらないと思っているようす。事情を聞いてみると、今の貧乏でつらい暮らしは、姉夫婦が生活の苦しさに絶望し、心中しようとしたところを見ず知らずの人に助けられ、大金をもらったからだと言う。名前も名乗らず、大金だけを残して立ち去った男というのは……。

 三本とも、おもしろかった! 『しじみ売り』ですが、手に息を吹きかけるだけで10歳くらいの男の子が見えたのは、まん我さんのすごいところだなぁ。 
 演出のためか、クーラーを強めにしてあったようだ。私の格好ときたら、半袖半ズボン。ちょっと冷えた。まん我さんがちょっと風邪気味なところへ持ってきて、「つばきゾーン」に座ったものだから、風邪ひきました(^_^;)
 でもまあ、まん我さんからもらったものと思えば、気分がいい……か?



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