続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

2020年 東京オリンピック

 2020年夏、東京でオリンピックが開催されることが決定した。このことを、私は手放しで喜ぶことができない。その理由のひとつに、原発事故の問題がある。
 日本は未だ、事故を収拾できていない。そもそも、一度事故を起こしたら収拾が望めるとは思えないのが原発だ。にもかかわらず、なお原発に電力を頼ろうとしている。数値を隠したり、ごまかしたりしようとしながら。
 そんな状態でオリンピック開催が決定したら、政府は「世界に許された。方向性を認めてもらえた」と思うのではないだろうか? 先々のことを考えたら、原発事故を理由に招致を見送られたほうがよかったのではないだろうか、と思ってしまう。日本が、地球規模で迷惑をかけていることを、しっかりわからせるべきだったのではないだろうか。

 東京招致には、立ち上がりから反感があった。築地市場の移転問題を、私は忘れていない。「老朽化」が名目になっているけれど、築地市場跡地にオリンピック・メディアセンターを建てるという話もあった。結局は断念したようだけれど。しかし、計画は変わらず、豊洲に移転予定である。以前、東京ガスの施設があり、土壌汚染の激しい土地に、巨大な市場を移転させるのだそうだ。もちろん、土壌汚染は、きちんと処理するそうだが。

 オリンピックが始まれば、私もいろいろな競技を見るし、喜んだり、悔しがったりするだろう。日本を応援もする。
 けれど、毎回決まって腹の立つことがある。それはメダルの獲得に固執する報道だ。選手が上を目指すのは当然だけれど、周りが「メダル、メダル!」と騒ぐのは、とても下品なことだと思っている。もっと競技そのものの内容に関心を寄せるべきではないのか。メダルを獲れなかった選手に対して「残念でしたね」と言うよりも「すばらしい内容でした」と言うほうが、もともとのオリンピック精神だと思う。「メダル総獲得数」なんて報道は、ゲスの極みだ。私は、もっときちんと選手を讃えたい。

 ともかく、東京開催が決まったのだから、これを目指して原発事故収拾に力を注いでもらいたい。決定したからには、これが収拾のスピードアップの新たな原動力になることを願う。

 

 


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