続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

世田谷アートフリマvol.29 終了

 ゴールデンウィークも終盤にさしかかったころになって、ようやくアートフリマのことを書く時間ができました(^_^;)
 今回はワークショップではなく、販売で、1日のみの参加です。

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 初めて販売する商品があります。写真左側のミニ紙バッグ。2個50円で販売してみました。さてどうなるものやらと思っておりましたが、意外と好評。プレゼント用に豆本を買われた方が「これに入れて渡そう!」と買ってくれました。また、小学生の女の子は、まずこれに目が行くようでした。

 今回、豆本の新作も用意しました。ドールハウスサイズの『鬼へハンカチを』です。

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 この豆本に関しては、何度かブログで紹介してきましたが、販売としては初お披露目です。
 表紙が目立つんか、並べている見本の中から、まずこれを手に取るお客さんが多かったです。新作だから、嬉しいですね。

 4月だというのに、とても暑かったせいか、全体的にお客さんの入りがいまひとつだった気がします。でも、赤字にはならず、よかったよかった。

 今回の最大の収穫は、小学3年生くらいの女の子の交渉術を見られたことです。
 私のブースで、豆本を何冊も読んでいました。本が好きなんでしょうね。後から来たお母さんに「ねえ、豆本買って」とおねだり。「好きな本を、1冊、いいよ」とお母さん。
「えー、1冊? 5冊は?」
「1冊よ」
「じゃあ、3冊」
「1冊!」
 ここから、女の子の巧みな交渉が始まります。1200円の蛤本を手に取って「これもいいの?」と尋ねます。
「一番気に入ったのを選びなさい」
「そうじゃなくて『これでもいい?』って聞いてるの」
「それが欲しいの?」
「そういうことじゃなくて!」
 私にも、女の子が、どう話を持って行きたいかの青写真が見えてきました。
 蛤本は1200円だけど、欲しい豆本3冊の合計金額は900円。1200円がいいなら、900円はそれより安くあがるんだから、OK出せるでしょう?
 しかしお母さんは、そんな思惑はお見通しで、女の子よりも2枚も3枚も上手なのです。
「それが欲しいんなら、それを買ってあげます。それにするのね?」
「そうじゃなくて……」
 そう、金額の問題じゃないのです。お母さんは、吟味して、欲しいものだけを買うということを学ばせたいのです。それはね、とても大切なことで、将来あなたのためになることなんだよ、と、自分の売り上げそっちのけで見守ってしまいました。
「1冊なんて、決められないよー」
「決められないのなら、買うのは諦めなさい」
 30分にも及ぶ交渉は、お母さんの完全勝利でした。じつはこの母子のずっと後ろに、女の子の弟と思われる小さな子を抱っこしたお父さんがいました。交渉する相手がお父さんだったら、陥落できたんじゃないかなーなんて、ちょっと思いました。お父さんもそれは分かっていたので、後方に引っ込んでいたのでは?(笑)
 閉店前にその女の子が戻ってきて、『鬼へハンカチを』を買ってくれました。最初から、それが一番欲しかった本だったもんねー。
 お買い上げ、ありがとうございます!


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