続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

カラヴァッジョ展

 上野・国立西洋美術館で開催中の「カラヴァッジョ展」を観てきました。
 じつは知らない画家だったのですが、行ってみてよかった!

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 『法悦のマグダラのマリア』が印象的でした。
 2014年にカラヴァッジョ真筆と認定を受け、初公開のようです。カラヴァッジョが実際に殺人を犯してしまったすぐ後に描かれたものらしく、そんなことを知って観たら、ますます絵に深みが感じられました。

 水面に映る自分の姿に口づけしようとする『ナルキッソス』もドキリとします。

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 占いをすると見せかけて、指輪や財布をすっている絵もあり、当時のローマの、退廃的な空気を感じることができたのも、おもしろかったなぁ。

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 下知識のない私にとって、案内文はたいへんにありがたかったです。絵そのものを観て感心するのもけっこうなのですが、どういう場面を描いたのか、どこがポイントなのかを知って観ると、また興味深く感じられます。
 カラヴァッジョ、たいへん短気な人だったようで、度々裁判沙汰になっています。「アーティチョーク事件」というのも起こしてますね。食堂で、アーティチョークのバター炒めを4つ、油炒めを4つ注文。持ってきたウェイターに「どっちがバター炒め?」と尋ねたところ、ウェイターの「匂いを嗅いだらわかりますよ」という答えに腹を立て、皿を投げつけ、軽い怪我を負わせたんだとか(^_^;)
 そうした裁判記録も展示されています。

 カラヴァッジョの作ではないですが、彼に影響を受けた画家の描いた『カニに指を挟まれる少年』も、別の意味で印象的だったなぁ。
 カラバッジョも『トカゲに噛まれる少年』(このブログの最初に掲載しているチラシの絵ですね)を描いてますが、当時、トカゲだのサソリだのカニだのに、噛まれたり挟まれたりした絵を描き、技術を見せつけるのが流行ってたみたいです。
『カニに挟まれる少年』は、どう見ても「わざとでしょ!」と突っ込みたくなる感じ。しかも脇にはイセエビみたいなエビも用意されていて、カニをクリアしたら、こいつにチャレンジするだろうことが伺えます!
 たぶん彼は、貴族お抱えのリアクション芸人。クワガタに鼻を挟まれたこともあるはずです。

 しかし、入場前に、表の看板を観て、8歳くらいの男の子たちの会話も印象的でした。

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「これ、男だよ」
「え? 女でしょ?」
「男だよ。だって、きれいじゃないもん」
 ……君の審美眼、きらいじゃないよ(^_^;)

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