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続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

ヒースランドと私 7 vol.21~vol.24

日記 九十九耕一 「ヒースランド」と私

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 ’08年発行のvol.21には『ふたりパン』を掲載。
 湖のほとりにあるパン屋「ふたりパン」。店主と奥さんのふたりで切り盛りしているお店……のはずですが、忙しく働いているのは店主だけ。不思議なことに、奥さんの姿を見た人は、ひとりもいません。けれど店主は、当たり前のように大声で奥さんに指示を出し、まるで奥さんが店の奥にいるかのようにふるまっている。薄気味悪いという人もいるけれど、味は抜群。そんなお店に、ひとりの家出少年がやって来る。姿の見えない奥さんの謎とは?

 パン屋さんで働いているときに書いたお話です。「童話賞をいただいたから……」というわけではないのですが、アンデルセンで働いていました(笑)。朝の早い仕事なので、キツかったですが、充実感もある仕事でした。見た目にもおいしいパンを作ることに、一所懸命だった中、生まれたお話です。
 電子書籍『ラーメン食べたい~九十九耕一短編集2~』に収録。

 vol.22には『本棚小人の話──ケイの本棚』を掲載。
「本棚には、本棚小人が住んでいる」というのは、とある街の、古い言い伝え。
 母を亡くしてから、本と向き合えなくなった男の子・ケイ。母は死の直前、ケイに本棚をプレゼントしていた。けれどケイが本を開こうとしないので、そこに住む本棚小人には名前がない。本棚の持ち主のお気に入りの本から名前を取るのが、本棚小人の習わしだったのだ。心を閉ざすケイと友だちになったのは、クラスメイトのリタ。本好きの元気な女の子。リタは「図書館で本棚小人の声を聞いた。本棚小人にイタズラされた」と話す。ケイは少しずつ心を開き、とうとう、母に贈られた本棚に収められた絵本を開く。ついに本棚小人に名前が。

 思いついたとたんに「これは長いシリーズになる」と思ったお話です。本棚小人は妖精のような存在で、人の目には映りません。魔法が使えるわけでもないのですが、本棚に収められる本と、持ち主を見守るのが役目のようです。

 vol.23には『本棚小人の話──リタの本棚』を掲載。
 本好きだけれど、家が貧しく、自分の本棚を持たないリタ。そんな彼女のために、ケイは本棚を作ります。新たな本棚小人の生まれる瞬間が! ケイの愛情のこもった推理が光るお話です。

 vol.24には『本棚小人の話──ガドガン卿の本棚』を掲載。
 年に一度、小学5年生の中から、本好きな子20人が選ばれ、森の奥にあるガドガン卿のお屋敷に招かれます。ガドガン卿は、車椅子に乗り、ひどい火傷の痕が残るおじいさん。なんと「子どものころに、本棚小人を見た」と、子どもたちに話すのです。火事から自分を救ったのは、本棚小人たちだったと。ケイとリタが、自分たちが経験した本棚小人の話をすると、嬉しそうに笑います。本棚小人の謎に、一歩近づいたケイとリタ!

 このお話を書く少し前に、東北大震災があり、福島第一原発が事故を起こしました。どんなに細心の注意を払っていても「それでも事故は起こる」という思いを、作中の大火事に重ねています。ひと度事故が起こったら収拾のつけられない力は、使ってはなりません。

「ヒースランド」に載せた『本棚小人の話』はこれら3本ですが、私の中ではまだまだ続いています。ラストも見えているので、いつかまとめたいと思っています。



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