続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

熊谷守一美術館

「地面に頬杖つきながら、蟻の歩き方を幾年もみていてわかったんですが、蟻は左の二番目の足から歩き出すんです」
 これは画家・熊谷守一の言葉だ。そんなことがわかるほど観察する姿勢に、感動してから幾年月。昨日、ようやく熊谷守一美術館に行ってきた。西武池袋線椎名町駅から徒歩15分ほど。相方と「今度行ってみよう」と言っていたけれど、わりと近くにあるので「いつでも行ける」という安心感から、ずうっと行かずにいた。
「これでは、いつまでたっても行けない!」と一念発起し、えいやっと行ってきたのであります。

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 熊谷守一が暮らした家の跡地に建てられた、小ぢんまりとした美術館。館長は娘の榧(かや)さんだ。

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 1、2階に熊谷守一の作品が展示されており、3階は貸しギャラリーになっている。展示内容は随時変わる。
 私はやはり蟻の絵に惹きつけられるのだけれど、『野天風呂』と題された絵も好きになった。広い野天風呂に浸かってくつろぐ人々が描かれているのだけれど、右端にこれから湯に浸かるのであろう人が描かれているのが、なんともユーモラスだ。前かがみになって湯に向かっており、いかにも「寒っ!」と言っているようである。脱衣所で衣服を脱ぎ、肌が外気にさらされると、人はどうしたって前かがみになって湯気を目指す。野天風呂の音さえ聞こえてきそうな気がした。
 相方は書の「寂」という1字が気に入ったようだ。墨のにじんだ感じが染みたようである。

 ひと通り見た後は、1階の喫茶コーナーでお茶。カップは館長の榧さんのデザインのようだ。コースター代わりの敷紙には、榧さんの絵が印刷されている。もったいないので、なるべく汚さないようにして持ち帰った。

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 私の使ったカップは白いほうなのだけれど……正直、好みの使い心地ではありませんでした(^_^;)

 帰る前には、美術館の外壁も鑑賞。蟻もいます。見上げるように熊ン蜂が配置してあるのが、にくい演出だね!

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 5月15日からは「熊谷守一美術館30周年展』と題された展示があるそうなので、また行こうっと!

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