続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

牛丼の作法

 そんなにしょっちゅう牛丼屋さんに行っているわけではないけれど、ときどき無性に食べたくなる。いつの間にか「行くと必ずこう食べる」という決まりができていた。

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 注文するのは、いつも並。「つゆだく」はご飯がしゃばしゃばになるので、好みではない。つゆは、ご飯に適度に染みていてほしい。
「お待たせしました」と、目の前に牛丼が置かれる。
 心の中で「いただきます」と言う。
 まずは鑑賞。「おや? 今日はお肉が多いような気がする」とか「ネギが若干多いか?」とか、その日に巡り会った牛丼の感想を、頭の中でつぶやく。決して口には出さない。
 湯飲みを、心地よいポジションに移動させるのも、このときの手順だ。

 次に、紅生姜を乗せる。たくさんは乗せない。ほんのひとつまみでいい。
「美的感覚」と言いたいところだけれど、単に嗜好の問題だ。じつは私、紅生姜はあまり好きではないのです。でも、まったくないと淋しい。というわけで、ちょっとだけ乗せる。
 それから、七味唐辛子を全体に軽く振る。これで私の牛丼が完成。

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 あとは食べるだけなのだけれど、ひと口目は紅生姜の部分と決まっている。紅生姜、お肉、ご飯をうまく箸で取り、口に入れる。この最初のひと口で紅生姜を終わらせる。……先にも書いたけれど、紅生姜はあまり好きじゃないので、最初に終わらせて、あとは安心して楽しもうという作戦なのです。
「ならば最初から乗せなければいいではないか」と思う人もいるだろうけれど、こだわりとは、なかなかそう単純にはいかぬものなのです。
 あとは無心に食べるのみ。一度持った丼はほぼ置くことなく、一気に食べ終える。
 食後にお茶をすすり、紙ナフキンで口を拭く。使ったナフキンは丸めても畳んでもいいけれど、決して丼には入れない。店員さんが下げるときにそうするのはいいけれど、自分でやるのは見苦しい気がして、嫌なんですよ。
 箸は丼の上に渡す。トレイはできるだけ汚さない。
 席を立つときに「ごちそうさま」と言う。店員さんが応えようと応えまいと、そこはあまり気にしない。まあ、「ありがとうございます!」と言ってくれたほうが気持ちいいけどね。

 以上、私の牛丼作法でした。



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