続・どんぐりも背くらべ

童話作家・九十九耕一のブログ

ほしをみつめて

f:id:korukun9951:20130919190002j:plain

  この夏、相方が梅干しを作った。赤紫蘇を使わず、塩のみで漬け、天日に干す作り方だ。ほどよく漬かり、そろそろ干そうかというときになって、連日の雨。一気に干したいところだったのに、タイミングがズレてしまった、と、相方は嘆いていた。
 最初に味見したときは、ずいぶんしょっぱいと思った。ところが日を置くと、塩の尖った感じがなくなり、丸みを帯びたしょっぱさになり、きつすぎないすっぱさになった。間を置くのは、重要な行程らしい。

 梅干しの種をしゃぶりながら、ふと思った。日本には干した食べ物はたくさんある。干し芋、干しいか、干しぶどう、切り干し大根……数え上げたら、いったいいくつになるのやら。けれど、どれもこれも「干し○○」だ。梅干しのように「○○干し」というのが思い浮かばない。

なにかないかと頭をひねって、最初に浮かんだのは「煮干し」だ。しかしこれは「煮る」という行為の後に「干す」という、行為の流れを示したものであって、梅干しとはちょっと違う。
 さらに考えて、ようやく「しらす干し」を思いついたが、ほかはなかなか思いつかない。

 

梅干しもしらす干しも、順序を入れ替えて「干し梅」「干ししらす」と言ってみたところで、多少の戸惑いはあるかもしれないけれど、大きな違和感はない。でも「芋干し」「いか干し」「ぶどう干し」なんて言うと、食べ物の名称ではなく、作業の呼び名みたいだ。「梅干し」は特例なのかもしれない。

 

些細なことが難しい。些細なことに答えを求めるのではなく、難しいものだなとひとりごちるのが、ちょっと楽しい。

 ちなみに相方は、梅干しが食べられない。

 


人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村